前編は

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「修羅場で決める」経験がキャリアをつくる

ーーCxOを目指すには大変なことも多いと思いますが、CxOならではの仕事の素晴らしさやスケールの大きさもあると思います。森本さんと徳谷さんは「CxOを目指す意味や意義」をどう考えられていますか?

森本まずは決裁者になることの重要性があると思います。CxO以下だと、意思決定されたものを執行することが役割なので、決める側にはなかなかいけない。自分がやりたいビジョンが明確にあるのであれば、絶対に決める側に行かないといけません。

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ーーどうすれば「決める側」に行くことができるのでしょうか。

森本「修羅場」のような有事をどれだけ経験するかはポイントだと思います。有事では自ら判断せざるを得ません。

いまはもう、昔のようにカリスマが一人いて、その人だけが会社を引っ張る時代ではないと思います。

ソフトバンクの孫正義さんが今やっているのは自分の後継者を一人立てるのではなく、複数の人材が彼の役割を担う形の組織にしていくことです。つまり、一人がリーダーシップを取っていくのではなく、チームで戦う時代だということ。

そういう意味では、現代のCEOやCxOの役割は、組織力を高められるようなケミストリーのある組織を作ることです。一人だけにエッジが立っていても組織力は高まらないので補完しあう必要があります。

徳谷私からも、CxOになる意義を3つあげさせてください。

まず1つは、先程の森本さんのお話とも重なりますが、「CxOは自分でビジョンやミッションを描く側である」ということです。決裁権の有無という小さな話ではない。

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CxOは「目的」ではなく「手段」であることが前提ではあるのですが、「決まったことを遂行する」ことと、「ないものを描いて実現させる」ことは、似ているようで全く違います。これは、目指す世界観がある方にはとても意義のあることです。

前編でも少し触れたように私は「目的感」と呼んでいますが、これからの時代は、絶対の正解がない中で、自ら目指す世界や目的を描き、周囲に伝えられることの価値が飛躍的に増しています。

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強みが磨かれ、人脈の濃さが圧倒的に変わる

徳谷次が、「CxOは自身の価値が非連続に上がっていく」ということです。CxOの看板があるからといって、自動的に価値が上がるわけではありません。

CxOになる人は得てして高い視座で、広く深い修羅場を経験することになる。もちろん困難は多いのですが、結果として成長する。著名なCxOはだれしもその経験を糧としています。そして、振り返ったのちに「ここからが始まりです」と言うのです。

そのように、本当に価値を出せるCxOは、当然ですが「ぜひうちに来てほしい」と他社からのヘッドハンティングの声がかかることが圧倒的に多いのです。

価値という意味では、CxOは強みが磨かれていく人が多い気がします。 全部平均点になるというよりは、ある一定の経営視点とスキルは保持しつつも、ファイナンスやマーケティングなどそれぞれの強みを伸ばして突き抜けていく人が多い。このような「価値の持続性」もCxOの意義のひとつです。

そして3つ目は、CxOになると、人脈など付き合う人の「濃さ」が変わることです。この影響は多大で、大きい組織の中で異動することの比ではありません。

影響力のある立場のCxOをやっていると、それに見合う人との接点は必然的に増えます。付き合う人のレベルがその人のレベルを規定するのです。それは将来的にもとても大きな財産になるはずです。

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森本たしかに優秀なCxOの方々はみなさん、人脈の変化について「CxOになると圧倒的に人脈のレベル感が上がる」とおっしゃいます。

徳谷CxOになると、そういう相互作用が生まれます。ミッションや持続的な価値があり、刺激の強い人脈もできれば、刺激も受けるし機会も増えるので相互に成長する。

そうなると違う世界もまた見えてきますし、ここからグッドサイクルが生まれていきます。CxOになると、そのサイクルに入っていきやすくなるのは間違いありません。

森本もちろんCxOのポジションは重責です。プロフェッショナルなので成果をちゃんと見極められます。言い訳ができない一方「だからこそコミットしてやる」くらいの気概で望めば、圧倒的に成長することができます。

徳谷「いつかは経営者になりたい」という方は結構いらっしゃいますが、ずっと「言っているだけ」の方があまりに多い。いつかと言わずに、まずは小さな機会からでもやってみるべきです。自身で経営経験をするか、経営に近い環境に飛び込んでいくことが望ましい。野球で言えば、空振りしてもいいので、試合に出ないと何も始まらないのです。

森本本当に「やるかやらないか」ですよね。とはいえ、今持っているキャリアやスキルセットで、大企業の経営ボードにいきなり入るのも難しいでしょう。

その場合は、最近は副業やパラレルキャリアが可能になってきているので、たとえば少し会社のサイズを変えたりして、社外でマネジメントの疑似体験をするのもいいと思います。

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女性は非常勤の取締役を狙え

森本また、女性のCxOはまだまだ少ないのは現状ではありますが、女性こそCxOを目指してもいいと思います。

私がいま女性の部長や課長に言っているのは、女性CxOのニーズが高い一方、それに対応できる女性がなかなかいないということです。

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たとえば、女性の社外取締役というポジションです。ここには「女性枠」があります。企業には女性の管理職比率や役員比率を上げるという大命題があり、常勤の女性取締役はまだハードルが高いですが、非常勤の取締役だったらポジションを作れるのです。

私は、経営ボードに最低でも一人は女性は必要だと思っています。そもそも消費者の半分は女性であり、なおかつ高額商品ほど74%の奥さんが意思決定をしているというデータもあります。

それに鑑みると、商品やサービスはもちろん、企業の文化を作るに至るまで「女性の感性」を入れることは、今後会社が生き残るには不可欠ではないでしょうか。

とはいえ、一人ではなかなか不安なことも多いかと思います。そういう人は、今回の徳谷さんのゼミのような機会を活かし、講師や受講生といった仲間とともに今後のキャリアを見つめ合い、行動してみることが第一歩ではないでしょうか。

徳谷そうですね。計画的偶発性理論という話がありますが、全て予定通りにいくキャリアはない。自身より視座の高い人や、バックグラウンドの異なる人たちと、相互理解をしつつ、切磋琢磨するような機会にまず飛び込むことが、その先のキャリアを分けるTURNINGPOINTになると思っています。

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