「組織でイノベーションを起こすにはどうすべきか」
現在、多くの企業がこの壁に直面しているのではないだろうか。
そんな中、ネスレ日本は「バリスタ」や「ネスカフェアンバサダー」などイノベーティブな製品・サービスを世に次々と送り出している。
なぜこのようなことが実現できるのか?そこには、高岡氏が実施している「イノベーション・マネジメント」があった。
NewsPicksアカデミアでは今回、これまでの延長線上にないビジネスを生み出し、企業の成長をドライブさせる高岡氏の方法論を、「約3分×7回」の動画講義でお届けする。
本記事では、第1話の内容をお伝えする。「イノベーション」と「リノベーション」という切り口で、企業変革を分類する高岡氏の論は大いに参考になるだろう。
「イノベーション」の定義
早速ですが、皆さんに一つ質問したいことがあります。
それは「イノベーション」とは何か?という問いです。
実際、これを正確に答えられる人はほとんどいません。
私は何年か前に近代マーケティングの父 フィリップ・コトラーにこの問いを投げかけましたが、彼からも明快な答えは得られませんでした。
また「21世紀はイノベーションの時代だ」と叫ばれていますが、実際にイノベーションを起こしている例はほとんどありません。

このような現状を踏まえて、私なりにイノベーションとは何か考え抜き、一つの答えを出しました。
それは、イノベーションは「顧客の問題」に非常に深く関わっているということです。
顧客の問題には2通りあります。
一つは「顧客がわかっている問題」、もう一つは「顧客がわからない・諦めている問題」です。
この後者を解決した時にのみに生まれるのが「イノベーション」、前者の問題を解決した時に生まれるのが「リノベーション」だと考えています。
少しわかりやすい例でご説明しましょう。
「部屋の中の温度が暑い、不快だ」という問題を人類が解決した手段は3つしかありません。
その一つ「うちわ」と「扇子」は何千年も使われています。
しかし20世紀初頭にエジソンが電気を発明して、石油が発見されてから第二次産業革命が起きます。
これにより誕生したのが「扇風機」です。これは電気によって羽根を回し続けて涼を取るという「顧客が諦めていた問題」を解決したので「イノベーション」になります。
さらに何十年も経つと「この空気の中の湿気が問題だ」と考えた人が現れます。こうして誕生したのが「エアコン」になります。
このように「涼を取る」という問題を解決したイノベーションは「うちわ・扇子」、「扇風機」、「エアコン」の3つしかないのです。

扇風機もエアコンも市場調査をしたところで「作ってほしい」という結果では顕在化しません。
顧客がわからない問題は、市場調査をしても捉えられないのです。
一方で、エアコンの市場調査をした時「ボタンをわかりやすくしてほしい」、「タイマー機能をつけてほしい」という結果は市場調査をすればわかります。
これらの結果を新製品に盛り込むのはエアコンの「リノベーション」です。

イノベーションマネジメントをする上で、この違いを理解するのは重要です。
リノベーションで解決する問題がなくなってくると、企業の売上・利益がなかなか伸びません。
だからこそ、21世紀はインターネットを使った新しい「顧客の問題」を解決することにのみ「イノベーション」が起こる時代になっているのです。
真のイノベーションマネジメントとは
「イノベーション・マネジメント」では、第2話以降でその内容を詳細に解説する。
第2話以降のタイトル、内容は以下のとおり。
第2話 「イノベーション」が起きる理由
高岡氏はイノベーションが起きる際にある共通点があると指摘する。
それが「新しいエネルギー」の出現だ。
なぜ新しいエネルギーがイノベーションを誘発するのか。第二次産業革命やインターネット革命を例に解説する。
第3話 「新しい現実」から「新しい問題」を抽出せよ

イノベーションが市場に受け入れられる条件の一つに「新しい現実」の存在がある。
特に、日本は少子高齢化や1人・2人世帯の増加などビジネスを取り巻く現実は大きく変化している。
新しい現実からどのようにビジネスを生み出すか。高岡氏が「バリスタ」を例に解説する。
第4話 「新しい問題」にいち早く気付くには
顧客が気づいていない問題をどう発見するかーー。
イノベーションが鍵はここにあると高岡氏は述べる。
しかし実際はその問題を発見できていないケースがほとんどだ。
なぜこのような事態になるのか。高岡氏がその理由を明快に解き明かす。
第5話 イノベーションを生む「NRPS」メソッド
「NRPS」、これは高岡氏が編み出したイノベーションを生むメソッドだ。
この講義では、NRPSについてネスレ日本の「ウェルネスアンバサダー」を例に詳細に解説。
理論と事例を踏まえて学びを深めていく。

第6話 ネスレ式 イノベーション組織の作り方
イノベーションを組織で起こすーー。多くの企業が直面している壁を突破する方法を高岡氏が伝授する。
ネスレ日本が実施している「イノベーションアワード」では、約5000件ものビジネスアイデアが社内が生まれる。
果たして、イノベーションを育む土壌をどのように醸成されたのだろうか。
第7話 イノベーションを生む人材になるために

イノベーションを起こす起業家は何が違うのか?
高岡氏は「最後までやり抜く」、「オーナーシップ」、「人を説得する力と情熱」の3つを挙げる。
最終話ではこれらを踏まえ、イノベーションを起こす上で欠かせないポイントをお伝えする。