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知識を日常生活と結びつけることの大切さ

佐渡島西岡君って、偏差値35から東大に受かったんだよね。シンプルに言えば、頭が悪い人からいい人に生まれ変わったってことだよね(笑)

西岡そう思いたいです(笑)。以前の僕は本当に頭が悪くて。高校3年の春の模試で偏差値が35だったんです。小学校のころから、テスト前は毎日2時間くらい机に向かって勉強していたのに、成績は学年ビリとかでした。今でも母校に行くと、「お前が東大に合格したってウソだろ?」と言われるレベルでした。

佐渡島それが東大合格。どうして頭がよくなったの?

_________1本対談は、佐渡島氏が「Vtuber」動画を撮影するスタジオで収録された

西岡僕は、頭がいい人と悪い人の違いというのは、「日常生活から学べているかどうか」だと思うんです。頭が悪かったころの僕は、教科書や参考書を暗記するだけの勉強をしていました。一方で頭のいい人は、日常生活と結びつけて知識を学んでいけるんです。

佐渡島どういうこと? 詳しく知りたいな。

西岡例えば、地理を学んでいると「近郊農業」という言葉が出てきます。都会で新鮮な野菜を作って、近くのマーケットで販売することなんですが、以前の僕はこれを単なる知識として暗記していたんですね。でも、すぐに忘れてしまっていました。

二浪したとき、散歩中に家の近くの畑を見て「これが『近郊農業』じゃん!」って、知識を日常生活の一コマと結びつけることができたんです。そういう知識は、不思議なほどいつまでも忘れないんです。自分の中で「近郊農業」が暗記じゃなく「学び」になった瞬間でした。

____________1西岡壱誠氏/現役東大生作家

佐渡島レタスとか新鮮な野菜は、生産地の近くで販売しないと、鮮度が落ちて美味しくなくなってしまう。こういったことを単なる知識として暗記するのではなく、畑を見たときに「ここで野菜を作って、近くの人たちに届けているのが近郊農業なんだ」と気づけるかどうか、ということだね。

西岡そうなんです。勉強は机に座ってするもの、というイメージでしたが、実はそうではなかった。「散歩をしていても学べることってたくさんあるな」と気づいたんです。

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頭がいい人は問いを立てるのがうまい

佐渡島じゃあ、日常生活と学びを結び付けるには何が必要だと思う?

西岡「なぜ?」という問いを立てることだと思うんです。例えば、僕は今日、牛乳を買ったんですが、生産地は北海道かなと思ってパッケージを見たら、群馬だった。「群馬で牛乳を作っているイメージがないのに、なぜ?」って思ったんです。

でもよく考えたら、近郊農業って牛乳も当てはまるんですよね。新鮮なものだから販売エリアの近くで作っているんだ、と気づくことができた。「なぜ?」という疑問を深掘りしながら、持っている知識をつなげて答えを出すことが大切なのだと思います。

佐渡島よく「『なぜ』を3回繰り返せ」「『なぜ』を大切にしなさい」って言うよね。でも、そう言われてもピンとこないし、そもそも日々のなかで「なぜ」ってなかなか浮かんでこないと思うんだ。西岡君は、どうしてうまく問いを立てられるようになったの?

西岡僕は科目としての「地理」が大好きなんですが、実は、地理は日常生活の「なぜ?」を問う力を養うのにうってつけの科目なんです。さっきの近郊農業もそうですし、「なぜこの地域は干ばつが起きるほど気温が高いんだろう?」など、ニュースや日常の中で絶対に出てくる話題じゃないですか。

佐渡島「なぜ気温が高いのか?」という問いを立てて調べることで、理科的な知識についても幅広く学べる。気圧配置から、太陽の周り方についてもわかってくる。つまり、一つの問いからさまざまな知識にアクセスできるんだよね。

言い換えると、問いを見つけられなくて、何もかも記憶しようとして結局一つも覚えられないのが頭の「悪い」人。逆に問いの見つけ方が上手で一つの疑問からさまざまな知識を芋づる式に得ていくことができるのが、頭の「いい」人だと思うんだ。

西岡僕もそう思います。ほかに問いの立て方を養う方法として、僕は東大の過去問題が一番だと思っています。東大の問題の多くは暗記では解けないので、「なぜ?」を問う力が鍛えるのにうってつけなんです。

僕は東大の地理の過去問を50年分解いていくうちに、みるみる勉強が楽しくなっていきました。同時に世の中の見え方も変わりましたね。日常の解像度というか、見える世界が全然違ってくるんです。

nishioka_shoei_001西岡氏の新著『

佐渡島西岡君は問いの立て方がうまくなっていくうちに、自然と勉強もできるようになっていったんだね。ということは、頭のいい人と悪い人って、インターネットで「ググる(検索する)」回数も違うのかな。

西岡違うと思います。頭のいい人は検索するときも、ワードの入れ方が違います。こんなワードで検索すれば答えにたどり着けるだろう、という予測の立て方がうまいんですね。

佐渡島しっかり問いが立っているからこそ、どう検索すればいいのかわかるんだよね。例えば、「夏 熱い」だけだと何も出てこないかもしれない。そこに「気温」とか「なぜ」といったワードを加えてより具体化することで、より正確な答えに出会えるようになる。

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イメージするだけで英単語を覚えられる

西岡僕、英語でもまったく同じことができると思っていて。「ドラゴン桜」に登場するキャラクターで、英語講師の川口洋先生がよく言ってますが、日本人って実は英語をとても頻繁に使うんです。なぜならカタカナがたくさんあるから。けれど、ふだん使っているカタカナと、英単語を結び付けられない人っていっぱいいるんです。

例えばpromise(約束)っていう英単語がありますよね。どうしても覚えられない学生がいる。僕は「プロミスって金融会社があるんだから、なぜこの業種でこの名前なのか、考えてみたらいいのに」と思うんです。

佐渡島お金を借りたら返すのは約束、っていうところから「プロミス」とつけたんだな、と。そう連想すればわかるってことだよね。

西岡そうなんです。また、compromise(妥協する)という英単語があります。コンというのは「一緒」「共に」という意味。それとプロミスを結び付けたらどういう意味になるかな、約束とか契約をお互いに交わす意味かな、と頭のいい人はイメージできるんですよね。

そういう風に考えるクセをつければ、英語を学び始める前から、相当な数の英単語を知っている状態が自然とできるんです。

佐渡島「なぜ?」という問いは、「何で電気が通じるのか」「どうしてVRができるのか」など、仕組みに対しては割と簡単に立てられる。それだけじゃなく、例えばレストランに行って、「ここってどのくらい儲かってるのかな?」とか考えると、さらに広がりが出るよね。

西岡発展形として「なぜここに?」という問いも考えられますよね。コンビニが近くにあるのになぜここに新しく作ったんだろう、とか。そうすることで、コンビニによって客層は違うのか、そもそもなぜこの場所はお客さんが多いんだろう、などと考えが広がっていきますよね。

に続きます。*本対談は、YouTubeチャンネル「ドラゴン桜チャンネル」の内容を編集したものです。「ドラゴン桜チャンネル」では、佐渡島氏が「桜木先生」に扮して、学び方を中心としたさまざまなテーマを語っています。