第1回は

第2回は

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隣の部署とコミュニケーションを

――引き続き、会場の参加者との一問一答を行いたいと思います。

質問者3現在「社内スタートアップ」のような形で新たな部署が立ち上がり、利益は少しずつ出ているものの、社内でのシナジーはまだ生まれていない状況です。各事業がそれぞれ自分たちのことで一生懸命になり過ぎて、つながりが少ないことが悩みですが、どうすればいいでしょうか。

森岡私たちの場合は全体の戦略図があり、事業一つひとつの役割と関連性を図式化しています。確かに事業が成長している最中は、各事業をつなげるよりも自分たちのことにフォーカスさせるときもあります。

そこで重要なのが、全体像があるかどうか。企業としてしっかりとした全体像を持っていれば、ある程度の収益性が出た段階で、各事業の架け橋をつくることもできるものです。

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森岡康一/Supershipホールディングス代表取締役社長CEO

質問者3そのときに気を付けるべきこと、より効率良くするために意識することはありますか。

森岡大事なのは、隣の部署とよくコミュニケーションを取ることですね。それはミーティングで話すことではなく、一緒にランチやカラオケに行くといったコミュニケーションです。

私たちの場合は、バスケ部やガンダム部という部活制度や、部署をまたいで食事をするシャッフルランチという制度に活動資金を出したりもしています。

一緒に遊んだり食事をすることは非常に大事で、そこで「ウチの事業部こんな感じなんだ」「そっちの事業部どうなの?」と話しているうちに、「今、こんなアイデアを考えているんだ」「それ、一緒にやろうよ」という会話が生まれたりします。

一方で、「融合するための会議をしましょう」と机を挟んで向かい合っていては、どれだけ経ってもシナジーは生まれないものです。

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スタートアップからの、大企業の口説き方

質問者4お台場のテレビ局から来ました。ほかのテレビ局が森岡さんと合弁会社をつくられたのを羨ましいと感じていますが、古典的な部分もある企業をどう口説かれたのかを知りたいです。

スタートアップ側からの大企業の口説き方と、口説かれる側が心得ておくことがあれば教えてください。

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森岡口説き方と言うのかはわかりませんが、相手がどのような危機感を持っているかは理解しているつもりなので、その危機感の具体的な解消法を提案するようにしています。

質問者4とはいえ、大企業側はプライドが高いので、危機感を本当は認識していながらも認めたがらなかったりもすることもあるかと思います。

森岡そういう場合は、相手側に味方をつくることがカギになってきます。

幕末でも薩長と幕府がそれぞれ裏で連携していたように、時間はかかるかも知れませんが、立場を飛び越えてそれぞれの会社を利用してでも、「この世界をつくろう」という同志をつくることです。

その同志も立場が上の相手ではなく、意欲のある若手でも問題ありません。同志がいれば相手側の社内の理屈もわかりますし、「あの人にはこれは言うな」という作法も教えてもらえます。

大企業になればなるほど、規模が大きければ大きいほど、有名であればあるほど、プライドと面子があります。必ず仁義を通す一方で、相手の面子を汚すことは絶対に避けてください。共通の利益があるビジネスモデルは当たり前であって、やはり面子と仁義は重要です。

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出資を引き揚げるときのポイント

質問者5スタートアップに出資する立場として、撤退するタイミングはどのように設定するべきでしょうか。

森岡うまくいっていない企業への出資を引き揚げるかどうかは、社内でも議論になる話です。もちろん、撤退基準を決めるべきだという意見も出てきますが、私は事業規模によって判断も変わってくると考えています。

そして、もし判断するのであれば、事業規模と将来性の二点を考慮すべきだと。

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例えば事業規模で考えると、5000万円を使う事業と5億円を使う事業では、同じ撤退基準では考えません。5億円という金額であれば、規模も大きく時間もかかる事業だと言えます。それにも関わらず、5000万円の事業の撤退基準が1年以内に実績が上がらない場合と定めたからと言って、同様の基準で5億円の事業を判断することは得策ではないはずです。

なので、各事業の規模によって、まず撤退までのスパンに目安はつけておくべきかもしれません。事前に定めたスパンを経過すれば、もっと資金を注入すれば業績も上がるという見通しが出てきたり、先はないと感じたりするはずなので、先がないと判断したら断腸の思いで撤退するべきだと思います。

イレギュラーなケースがあるとすれば、撤退基準を設けながらも、続ける特別な理由がある場合。例えば、VRやAR、5Gなどが活用される未来のように、絶対にやって来る未来への準備であれば撤退はしません。

質問者5出資先のメンバーと一緒にサウナにいくように、出資先に撤退を伝えるときも何か工夫されていることがあれば聞きたいです。

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森岡事前に言っておくことが大切です。「このままの状態があと3カ月続いたら、そのときは俺もかばいきれない。そこは理解してくれ」と。それをまず伝えてから、「だから頑張れ。頼む」と応援する姿勢を見せます。

それを突然、「明日からいらない」と言ってしまえば、恨みしか買いません。褒められるマネジメント手法とは、到底言えないはずです。

――それでは最後に締めの言葉をお願いします。

森岡大企業には、スタートアップが日々どのような考えで、どのような動きをしているのかを、ぜひ知ってもらいたいと思います。まず彼らがどのような生き方をしているかを知ってあげないことには、目線もどうしても合わないと思います。

スタートアップはとにかく必死に働いています。ただ、必死ではあるものの、知らないことも多く、とにかく自分で考えながら動いています。そこに知恵を授けるだけで、一気に花が開く可能性があるので、決して馬鹿にすることなく、何が足りていないのか、どうしたらいいのかをアドバイスしてあげてもらいたいです。

スタートアップにはその逆で、大企業がどのような理屈で動いているかを知ってもらいたいですね。スタートアップ対大企業という対立構造になってしまったり、大企業病という言葉もあったりしますが、スタートアップも最終的に大きな企業を目指しているのであれば、まずその理屈を知っておくべきです。

理屈というのは、企業内のどのような力学で社員が動いているかということ。それらは公開されているわけですから、自分たちが夢を語る前にしっかり知っておくことは大切です。

互いが歩み寄っていける社会になれば、オープンイノベーションも広がっていくはずです。私たちもその先鞭をつけていきたいと考えていますので、ぜひみんなで面白い日本をつくりあげていきましょう。

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*本イベントの様子は「NewsPicksアカデミア」にてをしております。ぜひご覧ください。