第1回は

第2回は

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見るべきポイントは「人」

――では会場の皆さんからの質問コーナーに映ります。前方のスライドに投稿された質問を読み上げます。

サラリーマンが会社を買う際、小さな企業なので細かいデューデリジェンス(企業の資産価値を調査すること)は必要ないと思いますが、「こういうところを見るといいよ」というポイントがあれば教えてください。

三戸さきほど言ったことと重なりますが、やはり人だと思います。私がサラリーマンに買いましょうと勧めるのは、従業員が5人いるかどうかの会社ですから、その5人と息が合うか、一緒にチームとしてやっていきたいと思えるかどうかが大切です。

従業員たちが嘘をつかない、時間にルーズでないなど、基本的なところができていて、互いにちゃんと心が通じていれば、「騙してやろう」みたいなことにはならないと思うんです。

今まで10年、20年と事業をやってきたところなので、基本的には「デューデリジェンスをしなくていいような会社を買おう」というふうにお勧めしています。

____04A1898_-__________三戸政和/日本創生投資 代表取締役社長
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博打のようなベンチャー買収

――次です。三戸さんが、光本さんのBANKを買うとしたらいくらで買いますか?という質問がきています。

三戸なかなか難しい質問ですね(笑)。私たちがやっているバイアウトファンドは、「現時点でどれくらいの価値があって、将来の収益がいくらだから、これくらいで買いますと」いう世界です。でもベンチャー業界のM&Aは全然違う。

光本さんはDMMに会社を売ったとき、まだCASHをリリースして間もなかったでしょう?

光本はい、2ヵ月でした。

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三戸まだキャッシュフローがほとんどできていない時期ですよね。だからはっきり言って、期待値でしかない。事業というよりは、70億円で「光本さんを買う」という感じですね。

光本そうですね、70億円というのも何か根拠があったわけではなく、完全に言い値ですから。

三戸さんの話を聞いて思ったんですが、ベンチャー企業への投資って、博打のようなものですよね。うまくいくかどうかわからない。でも、三戸さんが300万円で買おうと勧める会社は、ちゃんと事業が成り立っている。

それならベンチャーに3億円を投資するより、300万円の会社を100個買って育てていくほうが、確実に儲かるんじゃないかと思えてきました。

三戸 そうですよ。事業承継を専門に扱うアメリカのある会社は、時価総額は6兆円になるくらいですから。

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仲間集めは、人を口説くか、会社を買うか

――次の質問です。起業にしても、先ほどの「1カ月で1億円」にしても、人を巻き込まないといけません。そこにハードルを感じる人も多いと思いますが、どうやって仲間を募るのですか。

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モデレーター:渡辺将基氏(新R25 編集長)

光本実はここが、一番大変です。

とくに僕はインターネットのサービスばかり作っていますが、エンジニアではないので、コードが書けません。だから、何をするにも絶対に仲間が必要です。

――1人目の社員はどうやって見つけたんですか。

光本もう10年ほど前になりますが、そのときは本当にお金がありませんでした。だから10万円で求人媒体に募集を出して面接し、専門学校を卒業したての20歳をエンジニアとして雇いました。

なぜ彼だったかというと、お給料が一番安く済んだから。卒業したてで職務経験はありませんが、「2年間勉強したからできるはずだ」と、半ば賭けでした。

――それで何とかなったんですか。

光本はい。STORES.jpもCASHもトラベルナウも、彼1人で作ってくれました。結果的に10年一緒に働いて最近独立したので、本当にいい出会いでした。

――運よく優秀なエンジニアを雇えたんですね。

三戸それは相乗効果もあると思います。堀江貴文さんのロケット会社、インターステラテクノロジズの社長である稲川貴大さんは、東京工業大学卒で、大手企業に就職が決まっていたそうなんです。

ところが就職直前に、刑務所から出たばかりの堀江さんと出会って、ロケットを志すことになった。彼は堀江さんとビジネスを回すことで、ぐーっと成長したんだと思います。

雇う側からすると、そういう人をちゃんと口説けるかどうかですね。

光本ええ、最初の1人を口説くのが大変です。自分の胸に飛び込んできてもらうには、熱い思いを伝えないといけませんし。

――やはり1人目は、会社にフルコミットできる人に来てほしいですか。

光本そうですね。会社を作ったばかりの頃は外注でしたが、少ししてからは、自分が作るサービスは内製化することをポリシーとしています。

やはり内部メンバーが作るものは愛情が全然違うので、圧倒的にいいものができます。だから最初は本当に、一蓮托生で頑張ってくれる人を探して泥臭くやるしかないですね。

____04A1841光本 勇介/株式会社バンク 代表取締役兼CEO

――やりたいことをSNSで発信して、募集して、と以前より人と会いやすくなっているとはいえ、簡単な方法はないということですね。

三戸私も会社を立ち上げたので、1人目を口説く大変さを経験しています。何をする会社なのかよくわからない状態で、ビジョンを語って相手をその気にさせないといけない。

それができるのもある種の能力で、誰もができるわけではないと思います。それに対して、小さな会社を買えば、ビジネスは回っているし、最初から人がついてくる。「0→1」のしんどさを経験しなくていい。

だからこそ私は「会社を買ったらいいんじゃない?」と提案しているのです。我田引水的な話になりますが(笑)。

光本たしかに、情熱的に夢を語り、興味をもってもらったうえで口説いていくのは、めちゃくちゃエネルギーのいることです。だから余計に「300万円で会社を買う」ことで収益を得ようという三戸さんの考えは、とても新鮮です。

三戸これからの10年で、事業承継ができずに廃業する会社が100万社にのぼると予測されています。大廃業時代がやってくるんです。

しかし、資本家マインドセットをもつ人が増えれば、そのうちの何千社でも、うまく引き継ぐことができるかもしれない。中小企業の皆さんは会社への思い入れが強いので、いい株主なら、自分や家族がオーナーでなくてもウェルカムなケースも多い。

また、「土地があるので帳簿上の資産は大きいけれど、実態はそんなに高くない」「借り入れを引き継いでくれるなら、タダでも持っていって」という会社もけっこうあります。

ですから、手元にあまりお金がなくてもやっていけますよ、と言いたいですね。

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――最後に、お二人から会場の皆さんにメッセージをお願いします。

三戸とにかく、アクションを起こすことだと思います。今日の話を聞いて、もし資本家が面白そうだと思ったら、まずFacebookのプロフィール欄に「会社を買おうと思います」と加えてみる。

そうすると、「これ何なの?」と聞かれて「実は……」と話せば、「M&Aをしている友達がいるから紹介するわ」となるかもしれない。

そういう小さいことからでもいい。やってみないと何も始まらないので。これは別に、資本家とか起業家マインドは関係なく、何事においてもそうだと思います。

光本起業は皆さんが思うより、圧倒的に怖くありません。失うものもほとんどありません。けれど、得るものはいっぱいある。

三戸さんと同じになりますが、興味があるなら、すぐにでも一歩踏み出してください。

週末のせどりなど、本当に小さなアクションを1つやってみると、「こういうハードルがあるんだ」「こんな失敗をするんだ」と気づきがあるので、それを繰り返せば、すぐ形になると思います。

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