第1回は

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ビジネスの基本を教えてくれる「せどり」

――「やってみて、だめならやめればいい」「成功より成長」、印象的で刺さるフレーズです。とはいえ、サラリーマンマインドと資本家/起業家マインドには溝があるのが現状です。

親が経営をしていると、子どもも起業にさほどリスクを感じなかったりして、環境も大きいと思います。そういえば、起業家の人は「せどり(転売ビジネス)」経験率が高いですね。

光本たしかに、僕の周りにもいっぱいいます。やってみると「こんなに楽しいんだ」「自分にもできるんだ」とハードルが下がるからこそ、一歩を踏み出しやすいんでしょう。

だって「安く仕入れて、高く売る」のは、商売の基礎中の基礎ですから。

――「せどり」は、起業家マインドセットを身につけるための最もライトなアクションといえそうですね。

光本僕の友達に、ごく普通のOLながら、せどりでめちゃくちゃ稼いでいる子がいます。彼女が何をしているかというと、中古ブランド品を売買する店で洋服やかばんを買い、それを別の店に持っていって売り、価格差を稼いでいます。

売っているものを覚えて価格を調べればいいだけだから、誰でもできますよね。

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光本 勇介/株式会社バンク 代表取締役兼CEO

三戸大手チェーン店なら価格設定にある程度基準があるので、それを個別の買取店に持っていけば、稼ぎやすいでしょうね。

――たしかにそれなら、高校生にもできそうです。

三戸それを資本家マインドセット的にいえば、自分で一度やって少しわかってきたら、誰かを雇ってやってもらおうと考えます。

たとえば、いまUber EATSの配達員をする人が増えてきたので、彼らを集めてチームを作り、代理店を始めるとか。

光本そうですね。アメリカでは、Uberの運転手をやりたいけれど車を持っていない人に、車を貸して稼ぐ会社も出ているそうです。

日本だったらUber EATSだから、自転車かバイクですね。自転車よりバイクのほうがよくない?と考えたりして、やりようはいくらでもあると思います。

――なるほど。どんどんハードルが下がってきました。

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「1ヵ月で1億円稼ぐ」プロジェクト

光本来年、東京オリンピックがありますね。オリンピックとパラリンピックで1カ月間、世界中から東京にものすごい人が押し寄せる。

僕はそのとき、1億円を稼ぐ「実験」をしてみたいと思っています。売り上げじゃなく、利益を1億円。

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具体的なプランは秘密ですが(笑)、「1ヵ月で1億円稼ぐ」プロジェクトを10個くらいやろうと思って、半分冗談、半分本気で周りに話しつつ、準備も進めています。

象徴的でわかりやすいので「オリンピック期間の1ヵ月」と言っていますが、別に来月の「9月」でもいいし、1億円じゃなくて100万円のチャレンジでいい。

1ヵ月で100万円を稼ぐ方法はいくらでもあると思いますし、せどりもそうですけど、これなら起業しなくてもできますよね。

三戸皆さん、アイデアのイメージは湧いても、方法がわからないと思うんです。たとえば「どうやって女子大生100人も集めるの?」とか「労働基準法的に大丈夫なの?」など、わからないじゃないですか。

その発想を実現に落とし込める人とそうでない人の差が、起業家とサラリーマンの決定的な違いだと思います。

そういう具体的な方法論をお伝えするために、私はオンラインサロンをしているんですが、光本さんも「光本塾」みたいなものをしたらどうですか。

――光本さん、面倒くさがりだからやらなさそうですね(笑)。

光本自分がやるのは好きなんですけど、他の人に教えるのは、あまり興味がなくて(笑)。

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僕はまだ結婚もしていませんが、子どもができたら、おこづかいを自分で稼がせたい。5万円を渡して「この5万円はあげるんじゃない、これを基に稼げ。稼いだ分がおこづかいだ」みたいな。

株を買ってもいいし、麦茶パックを買って大量に麦茶を作って、近所のおばちゃんに50円で売ってもいい。

三戸起業家マインドセットが普及したら、性格悪い子が増えそうですね(笑)。でも私も、小学生のときはアルミ缶を拾って売りに行っていましたね。

サラリーマンをしながら始めやすいこととしてもう一つ提案するのは、小さな会社の顧問になることです。

顧問契約料は月1万円からでいいので、月に1回、経営会議に入ってみる。たとえば、IT系企業勤務でネット広告をわかる人が、地域のオールドな広告代理店の顧問になって「今のウェブメディアはこんな感じですよ」と言うだけでも、小さな会社には貴重な情報となります。

地域の中小企業はリソースもアイデアも足りないので、それらを求めている経営者は意外に多いです。けれど、会社勤めをしている人がまさか顧問になってくれるとは思っていない。

____04A1987三戸政和/日本創生投資 代表取締役社長

だから「月いくらで、〇〇分野のアドバイスをします」と名刺の裏に書くなどして、自分でフラッグを立てておく。それをダーッと配っていけば、けっこう声はかかると思いますよ。

もし顧問としてのアドバイスがうまく刺されば、将来的に事業承継の話にもなるかもしれないし、会社を買う前の段階で、手っ取り早くできるのが顧問です。

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なぜ、会社を「売る」のか

――起業家/資本家として、今すぐ取りかかれることがあるんですね。

ここまでは会社を「買う」話を聞いてきましたが、光本さんは会社を「買われる」経験もしています。会社を売った意図は何でしたか。

光本会社を売った理由は2つあります。1つ目は、誰もが知っているサービスを作りたかったから。

僕の一番のモチベーションは、自分が生み出したサービスが、どれだけマスになるかということ。それを後押しする体力のある企業にジョインさせてもらうことで、目的を達成してみたい気持ちがありました。

なぜかというと、日本だけでも毎日のように新しいウェブサービスが立ち上がっています。それでも、一般の人に「日本発のウェブサービスを10個挙げてください」と聞いたら、ヤフー、楽天、食べログ、ぐるなび、メルカリ……。これくらいでちょっと詰まってしまう。NewsPicksは10番目くらいに入るかもしれませんが。

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これだけサービスがあるにもかかわらず、10個も挙がらない中で、誰もが知るマスサービスを作れるのは奇跡です。そのためには、使えるものは使ったらいい。

たとえば、Instagramは世界的なマスサービスになっていますが、「あそこが今の地位を築いたのはFacebookが買収したからだ」と言う人はほとんどいないでしょう?後まで語り継がれるのは、それを最初に作った人なんです。

もう1つの理由は、どんなチャレンジをするにもお金が必要です。やはり資本家にもなってみたいというか、まとまったお金を持ってみたいという思いがありました。

今はふたたび独立しましたが、ビジネス人生において会社を「売る」経験は、とても貴重な機会となりました。

第3回は