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〝分かち合い〟は感情を取り戻す強力な方法

会社やチームの中に感情を取り戻す時にもっとも重要なキーワードは〝分かち合い〟だ。

僕はアカツキの中で、分かち合いをもっとも大切にしている。

分かち合いは、自分の内側にあるものを、ただ周りと共有するっていうことだ。  

たとえば、アカツキでは、毎週メンバーみんなが集まる定例ミーティングがある。そこでは、各プロジェクトチームが全体で共有したいこと、経営陣が最近感じたことを話したりしている。

2-2アカツキで行われる「分かち合い」

ちなみに月に1回は僕が最近感じていることを話す「元ちゃん's トーク」というコーナーもある。これも、気づいたこと感じたことをピュアに分かち合う時間だ。

一般的な会社ではプロジェクトの発表の場で、誰かが話を終えたら質疑応答の時間を設けると思う。でも僕らの場合は分かち合いの時間をとる。発表の後、4~6人程度で輪になって、今の話を聞いて「何を感じたのか、どう思ったのか」を 15 分くらいでそれぞれ分かち合う。

個人がどんな感想を持とうが自由。たとえば、「元ちゃんの発表、全然つまらなかったね(笑)」と言ってもOK。

何を表現しても大丈夫。質問じゃなく分かち合いになると、思考じゃなく、自分がどう感じたかという感情の世界に入る。そして、感じたことを表現できる場は、心理的安全性を担保してくれる。

そして、他の人が感じたことも受け入れるという文化になる。

分かち合いだから、当然感じたことは人それぞれ違う。他の人の分かち合いを聞くことで、色んな見方に触れて、違う考え方を受け入れられる。

普段の仕事だと見えにくい相手の内側が少しでも見えることで、より深くつながれる。後述する「理解と同意を分ける」という考え方の体感にもつながるんだ。分かち合うというシンプルなことが、感情を組織に取り戻し、より深いつながりを生み出す。

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〝モヤモヤ〟を分かち合う

アカツキでは、〝モヤモヤ〟という言葉がよく使われる。プロジェクトによっては、モヤモヤリストというものも作っている。モヤモヤは、自分の中で何か違和感があったり気になったりしていることだ。

 「なんとなく○○だと思う」とか「なんか気持ち悪い」と言うと、一般的に社会では、「なんかってなんだ、きちんと説明して」ということになりかねない。

それ以降はもう、言語化できない違和感は会話のテーブルに上がらなくなってしまう。でも、違和感は可能性だ。

もしかしたら、チームが見たくなくて目を背けている重大なリスクかもしれない。違和感を素直に表現できれば、その違和感の正体をみんなで話し合うことができる。それは結果的に、プロジェクトの成果を高める。

そして、これはプロジェクトの成果だけの話じゃない、自分の感情も同じだ。  

自分の内側にある違和感に気づく。最初は言語化できない感情でいい。その感情は自分の進化への可能性だ。それを周りと分かち合うことができれば、認識できる。認識できれば行動も変わっていく。

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ニワトリを殺さない。感情的な安心・安全の担保

企業やプロジェクトで感情を分かち合おうとしても、普通の人にはなかなかできない。なぜなら、感情をさらけ出すことは、自分が無意識で纏っている鎧を脱ぐようなもので、人からの攻撃に対して、無防備になる。自分の感情を分かち合って、全否定されたり、攻撃される恐れがあると、人は心の扉を閉めてしまう。

世界のホンダを作った本田宗一郎の教訓に「ニワトリを殺すな」というものがある。『』(ケビン・D・ワン著)によると、傷ついたニワトリを檻に入れると、他のニワトリが寄ってたかって傷をつついて殺してしまう習性があるという。

失敗やミスをした人を無意識にみんなで責めてしまう。こういうシーンは企業やプロジェクトの中で、誰しも目にしたことがあるのではないだろうか。

だからこそ、分かち合いが許される、ニワトリを殺さない、安心・安全な環境が必要だ。

アカツキには、僕たちの大切にしている言葉をまとめた『アカツキのコトノハ(言の葉)』という本がある。その中でもニワトリを殺さない文化、減点主義で人を評価しないこと、失敗を財産にすることを大切なものとして強調している。

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具体的には、次のようなことが場づくりに貢献しているかと。参考になればと思う。

拍手の文化

アカツキには、拍手の文化が存在している。誰かが何かを発言したら、それに対して拍手をする。拍手は、それが素晴らしいと賞賛している面もあるが、何より、その発言があっていいっていう承認を示すことができる。拍手があると承認の文化は高まる。

理解と同意を分ける

自分と違う意見でも、まず「そう感じたんだ」だけでいい。理解が先にあるから、安全・安心が担保される。

そして、誰かの発言を理解することは自分が理解されることにもつながる。『』の中の第5の習慣「理解してから理解される」だ。それが巡る環境の安心感は大きい。

チェックイン。今の状態を分かち合う

僕が参加する会議では、よく、「じゃあ、チェックインしようか」と言って会議をスタートする。

チェックインとは、コーチングでよく使われる手法で、ミーティングの前などに、今気になっていることや感じていることを簡単に分かち合うというものだ。1人1分くらいでいい。

仕事の中だと色んなことを考えているから、今この瞬間に集中することは結構難しい。ミーティング中にも、次のミーティングや他のことを考えたりしがちだ。チェックインをするとそれが可能になる。

そして、チェックインでは、気になっていることや、自分のことを分かち合って、理解してもらえるから安心してミーティングに臨みやすい。

たとえば、僕もミーティングの前に「さっき、トラブルが起きたっていうチャットが来たから、心配で今心がざわざわしてる」とか、「昨日の会食で帰りが遅かったら、今眠い」などと分かち合う。

そうすれば周りのメンバーは、僕の状態が理解できて安心するし、僕も周りに自分の状態を理解されているので、無理なくミーティングに臨むことができる。

具体的な例を三つ紹介したが、安心・安全な場の作り方は他にも色々とある。でも、何より大切なのは、その場の一人ひとりが、安心・安全な場作りにコミットすることだ。誰しも安心・安全な空間を望むけど、それは誰か一人が作るものじゃなくて、みんなで作るものだからだ。

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